ストーリー6

今の自分を創るために必要な過程

人生は決して愉快な道のりではなかった。

しかし、全ては今の自分を創るために必要な過程であったと思う。


どう生きればいいのか

発達障害があるからなのか、幼稚園の頃から教員に「上の学校に上がれば大変なことになる」と言われ続けて育った。

実際、社会でどう生きればいいのか見当が付かず、大学生になった頃からひきこもりになった。

 

ひきこもりからアルコール依存症へ

ひきこもりが十年に近づく頃には重度のアルコール依存症となり、三十歳で発症した劇症肝炎では医師から「このまま昏睡状態になって亡くなる可能性が高いので、呼びたい人がいれば今のうちに呼んで下さい」とまで言われた。

奇跡的に生還した後もアルコールへの依存は治らず、アルコール性の大腿骨頭壊死で左足を壊し、三十代の大半をクリニックのデイケアに通って過ごした。

 

今までと異なる選択肢

そのデイケアの運営で利用者の成長を、ひいては回復を妨げているとしか思えないスタッフの対応や規則に矛盾を感じて、
精神科病院経験の長いカウンセラーに相談をしたところ
「そこまで分かったんやったらこっちの世界においでや」と意外な提案をされた。

 

現在

そして46才の僕は今、ひきこもりの部屋を訪問し、福祉施設のスタッフとして働いている。

これまでの人生は決して愉快な道のりではなかった。
しかし、全ては今の自分を創るために必要な過程であったと思う。

これからの人生の旅がどこに行きつくのかは分らない。

でも、今が一番幸せだと感じている事は確かだ。

 

40代、男性